2024年2月25日(日)13時~
ゲスト:松浦知也(東京藝術大学)
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ZINE「音楽とテクノロジーをいかに語るか?」をきっかけにオープン講座を開催。ゲストに東京藝術大学所属の松浦知也氏を迎え、楽器や記譜法、コンピューティング、ソフトウェア……等々、さまざまな角度から音楽とテクノロジーを考察するレクチャーを行った。
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発表概要
イントロダクション:音楽とテクノロジーをめぐる総論と3つのケーススタディ(imdkm)
「なぜ音楽とテクノロジーを語るのか」「これまで音楽とテクノロジーについてどんなふうに語られてきたか」をまとめ、本講座の基本となる課題を提示する。その具体例として、「ピアノ」「楽譜」「多重録音」の3つのテクノロジーを取り上げる。
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引用文献
- 伊東信宏編『ピアノはいつピアノになったか?』大阪大学出版会、2007年✔
- 渡辺裕『音楽機械劇場』新書館、1997年✔
- 郡司すみ『世界の音 楽器の歴史と文化』講談社、2022年✔
- 西原稔『ピアノの誕生・増補版』青弓社、2013年✔
- 皆川達夫『楽譜の歴史』音楽之友社、1998年✔
- 梯郁太郎『サンプルのない時代: 〈ライフワークは音楽〉大幅増補改訂版』音楽之友社、2014年✔
- ブライアン・イーノ「作曲の道具としてのスタジオ」(1979/1983)拙訳
- マイケル・E・ヴィール著、森本幸代訳『DUB論』水声社、2023年
参考文献
- カーティス・ローズ著、青柳龍也/小坂直敏/平田圭二/堀内靖雄訳・監修『コンピュータ音楽: 歴史・テクノロジー・アート』東京電機大学出版局、2001年✔
- 久保田慶一編著『楽譜でわかる20世紀音楽』アルテスパブリッシング、2020年✔
- 沼野雄司『現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ(中公新書)』中央公論新社、2021年✔
- Mark Katz, Music and Technology: A Very Short Introduction (Very Short Introductions), Oxford University Press, 2022.✔
音楽テクノロジーの脱植民地化――創造的「誤用」を乗り越える(imdkm)
音楽制作のテクノロジーが世界規模で安価に広まり「民主化」が進んだ結果として、既存のテクノロジーが暗黙に含む西洋音楽的な規範に対して、非西洋の音楽実践においてさまざまな衝突や折衝が起こってきた。その事例を、「脱植民地化」というキーワードを通じて考察する。
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引用文献
- Jace Clayton, Uproot: Travels in Twenty-First-Century Music and Digital Culture, 2016. Farrar Straus & Giroux✔
- 大石始・吉本秀純編『GLOCAL BEATS』音楽出版社、2011年✔
- Camilo Rocha, “Global Ghettotech” norient, 2009.
- サウンドアンドレコーディングマガジン2024年2月号✔
- audiot909さんのツイート(2022年10月8日)
- グギ・ワ・ジオンゴ著/宮本正興、楠瀬佳子訳『精神の非植民地化』第三書館、1987年✔
参考文献
- バッド・バニー(Bad Bunny)がコーチェラでレペゼンしたラテン音楽とレゲトンの歴史や文化 | Mikiki
- “Decolonizing Electronic Music Starts With Its Software” WIRED日本版に邦訳あり
- デイン・ケネディ著/長田紀之訳『脱植民地化 帝国・暴力・国民国家の世界史』白水社、2023年✔
- 姜尚中編『ポストコロニアリズム』作品社、2001年✔
- 小森陽一『ポストコロニアル』岩波書店、2001年✔
想像しうる音を、すべてあなた(たち)に – 音楽の道具としてのパーソナル・コンピューター論概説(松浦知也)
この講義では、コンピューターを表現の道具として扱う思想が消費社会とどう結びつき発展してきたか、特に音楽の焦点を当てつつ概観する。
DAW、ストリーミングサービス、イマーシブオーディオ、人工知能による音楽生成と、さまざまなレベルはあれど、私たちが今日音楽を体験するにあたって、制作から聴取までの過程にコンピューターが使われない事などほとんどない。では一方、私たちは今日コンピューターを「使いこなしている」かと言われると躊躇してしまう。コンピューターの万能さを、私たちは私たちの手の内に収められているだろうか?
自分で自分の道具の機能を更新できる「メタメディア」としてのパーソナルコンピューティングの歴史を振り返りながら、計算機を主体的に扱えるようになるための糸口を考察する。