コンテンツへスキップ →

サ柄直生, uami「おぼろのうた」について(お仕事報告)

サ柄直生, uami「おぼろのうた」のリリースにあたり、プレスリリースの執筆を担当しました。

以下、プレスリリースの作品紹介のテクストです。

 プロデューサー/トラックメーカーのサ柄直生、そしてシンガーソングライターのuamiがEP「おぼろのうた」をリリースする。2021年のシングル「まねごと」をきっかけに積み重ねてきたコラボレーションの成果を届ける、全5曲の濃密な作品だ。

 本作で鮮烈な印象を残すのが、ビートレスなサウンドで劇的な展開をつくりだすサ柄のプロダクションだ。一方で、uamiによる聴く者の耳を捉える繊細なメロディと、それを届ける歌声の力があざやかに浮かび上がっていることも本作の魅力のひとつ。まさにコラボレーションならではの化学反応だ。

 いわゆるキャッチーな「歌モノ」とは一線を画しつつも、本作はまぎれもなく「歌」にフォーカスしたEPだ。リズムやコード進行によるドラマのかわりに、メロディと言葉に寄り添ってシネマティックなサウンドを構築するサ柄のアプローチと、自身が得意とするヴォーカルのレイヤーによるハーモニーをあえて抑制してメロディにフォーカスしたuamiのスタンスが、見事に噛み合っている。

 4曲目に収録された「よあけ」には、uamiとのユニット・avissiniyonでの活動経験もある気鋭のシンガー・ソングライター、君島大空がゲスト・ヴォーカルとして参加。飾り気のないメロディに豊かなニュアンスを加えるふたりの歌声が耳を捉える。

 また本作はサ柄がillequalと立ち上げるレーベル、euraがリリースする最初の作品でもある。サ柄・uami両者の活動に加えて、euraの今後の動きにも注目して欲しい。

プレスリリース執筆にあたってはおふたりに作品についてヒアリングしましたが、uamiさんのシグニチャーにもなっているヴォーカルのレイヤリングは今回あえて抑えているそうです。それによって逆にヴォーカルとメロディの力が浮き彫りになっているのはもちろん、サ柄さんが「ヴォーカル以外の音も『歌』だと思っている」という旨おっしゃっていたのが印象的でした。「歌声も音だと考える」って割りとよくあると思うんですけど、逆に「全部の音が歌」ってあんまり言わないじゃないですか。でも「おぼろのうた」を聴いているとたしかにそんな気がしてくるんですよね。

uamiさんもメロディに力を入れた部分があり、たとえば5曲目の「苞」を書くにあたっては、最近のJ-POPで好まれる凝ったメロディを研究したりしていたそうです(一方で、いつもどおり一筆書き的にさらっと書いたメロディも多いらしいのですが)。個人的には、素朴さと繊細なニュアンスが緊張感あるバランスで同居しているM3「惑ひ」や、耳に残るキャッチーなフレージングが歌声の魅力を活かすM4「よあけ feat. 君島大空」が特に素晴らしい。

EPながら濃密な一作なので、ぜひ聴いてみてください。

カテゴリー: Japanese