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月: 2019年11月

12月22日(日)トークイベント「ダンスフロアのJ-POP by imdkm + TakachenCo.」@山形RAF-REC

この度、『リズムから考えるJ-POP史』刊行記念トークイベントとして、「ダンスフロアのJ-POP by imdkm + TakachenCo.」を12月22日(日)に山形RAF-RECにて開催します。

30年にわたるJ-POPの歴史を「リズム」という切り口から論じた『リズムから考えるJ-POP史』。その著者imdkmが、仙台を拠点に活動するトラックメーカーのTakachenCo.をゲストに招いてトークイベントを開催。「ダンスフロアのJ-POP」をテーマに、ダンスミュージックのリスナー/作り手の立場から、いろんな曲を実際に聴きながら、「踊れるポップス」について語ります。

概要

日時:12月22日(日)18:30開場、19:00スタート
料金:1000円(1ドリンク込み)
会場:山形RAF-REC(http://rankandfilerec.com/
※問合せはryohei.ito@gmail.comまで

出演者紹介

imdkm

山形県出身、天童市在住。ライター、批評家。ティーンエイジャーのころからビートメイクやDIYな映像制作に親しみ、Maltine Recordsなどゼロ年代のネットレーベルカルチャーにいっちょかみする。以後、京都で8年間に渡り学生生活を送ったのち、2016年ごろ山形に戻ってブログを中心とした執筆活動を開始。ダンスミュージックを愛好し制作もする立場から、現代のポップミュージックについて考察する。

TakachenCo.

岩手県出身で仙台在住。実の弟C.Sayidと共にリミキサーユニットThe LASTTRAKとして活動中。2010年よりアニソンをハウスやドラムンベースなどDJ仕様のダンスミュージックにリミックスし次々とネット公開、秋葉原mograを中心にアニソンクラブシーンから注目を受けるようになる。これまでにアイドル、ボカロ、ヒップホップ、ゲームなど様々なシーンのリミックスを手掛けている。近年ではUsagi ProductionによるVtuberコンピレーションVirtuREAL.00で人気急上昇中のVtuber”somunia”と楽曲を制作、東方projectアレンジの大手サークルIOSYS「TOHO BOOTLEGS」に楽曲提供している。

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指パッチンの鳴らし方

親指と中指を弾いて鳴らす指パッチンというのがあるのはみんな知っている。知ってるけれど自分ではそれができない、という人もけっこういる。「口笛が吹けない」ほどではないにせよ誰もが誰もできるものともいい切れないくらいの割合。

自分は鳴らせるんだけれど、関心があってよく、「鳴らせない」という人にこう訊くことがある。「指パッチンってどこが鳴ってると思う?」。すると、「鳴らせない」人は結構な割合でちょっとずれた回答をする。たとえば、「親指と中指が擦れて音が鳴る」とか。

指パッチンって実際には、 中指の腹が親指の付け根に当たって「ぱっちん!」と音が鳴っている。親指はあくまで中指に勢いをつけるためのトリガーみたいなもので、手のひらと指の腹が音を出しているのだ。 鳴らせる人にとっては「なにをそんなわざわざ」と思うかもしれないけれど。

これを伝えると、「鳴らせない」という人でも、きれいに高く響くほどには鳴らなくとも、指パッチンとしては成立するくらいには鳴らせるようになる。あっという間に。

さらに、もうちょっと響かせたい、という場合には、手全体のフォームが問題になってくる。鳴らせる人でもいっぺん試してみるとわかるのだが、完全に手を開いて親指と中指だけで指パッチンしてもいい音にはならない。上手い人は薬指と小指の握り方とか人差し指の位置を直感的に調整することで、つまり手全体がつくりだす空間に音をうまく共鳴させることで、よりよく響かせている。

もちろん手のかたちとか肉付きによって音の通りやすさは変わってくるから、手全体のフォームについては各自が自分の手指を駆使して掴んでもらうしかない。

でも、「どうやって音が出るのか」と「出た音をより響かせている要因はなにか」を適切に把握しさえすれば、自ずと練習法もわかってくる(いや、別に指パッチンを練習したってどうにもならんのですが……)。

こうした最初の一歩に必要な知識というのはいろんな分野にある。定番過ぎる例かもしれないが、ヘレン・ケラーがサリバン先生に手話で「水」という言葉を覚えたエピソードなんか、つまり「世の中にあるいろんな物事には名前がついていて、それを言葉(ヘレン・ケラーの場合は手話ですが)で表現することができる」ということ自体を学べば、あとは学びの道は自ずと開ける。という話だ。

教え方が上手い人というのは、こうした「できない人が最初にひっかかるポイント」への鋭い感覚と、「ひっかかりをほどく一言」をつむぎだすスキル、両方を持っている人、ということなんだろうなと思う。さらに踏み込むと、ある人の「できなさ」に対する観察眼――なぜなら、「たいていの人はこうつまづく」に還元できない自分だけの固有の壁が誰にでもあるから――も必要になるだろう。

一方で、学ぶ側からしてみれば、ひっかかりがするすると解けていった最初の一言なんてものはどっか遠くに行ってしまうものかもしれない。言葉によるアドバイスという補助輪をつけて感覚を掴んでしまえば、あとは学びのプロセスは身体化される。身体は言葉よりもずっとずっと遠くへと行ってしまう。

この「コツの言語化=意識化」と「身体化による忘却」との往還を常にできる人というのが理想なのかもなと思う。往還でなくとも、あるいは並走でもいいのだけれど。自分がそうできるものかどうか。いや別に人にものを教える仕事なんかしてないけどね。

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日記

11月7日

夜行バスで上野に着き、そのままネカフェに入る。当日午後に予定されていたとある取材に向けて改めて予習。ほんとうはちょっと寝ようかと思っていたけれどあんまり寝る気にはなれず、たんたんと資料を読み曲を聴く。それが予習になるかどうかはわからないけれども緊張をほぐすにはそうするほかない。マジでガチの、「この企画、正気か?」と二の足を踏んでしまうようなでけぇ案件なのだ。

やばいよ~ と思っていたらtofubeatsから連絡があり(Twitterに漏れ出していた己の緊張っぷりをみかねて)、 TTHWのパーゴル回でおなじみの事務所にお邪魔してちょっと世間話をする。BGMにApple Musicから高野寛『City Folklore』をかけていたら流れでトーフが高野寛をいっぱいかけだしてなんか高野寛祭りみたいになった。『City Folklore』は名盤です。

シティポップがどうだこうだと言っているなかで「ポップ」じゃなくて「フォークロア」なんだというタイトルがまず良い。懐メロ再評価的なシティポップもネオシティポップも個人的にはそこまでのれなくて、名曲は名曲! と思いつつ、そうした動向ももちろんふまえたうえで、やはり「いま」を如実にうつしている音楽のほうが好きだ。土岐麻子『PASSION BLUE』なんかもその点でほんとうに素晴らしい。

よき時間に取材に向かう。これはまあ、記事になったら書く。とんでもなかった。「こんな経験させてもらってもいいの?!」と。

その後、宿にチェックインしてちょっと休み、下北沢へ向かう。高井息吹、mekakushe、浦上・想起+松木美定の3組が出演するライヴ。前半に高井→mekakushe→浦上松木の順で20分ずつ演奏し、休憩を挟んで後半もまた同じ順で20分ずつ。2回まわしみたいな感じの変則的なタイムテーブル。最後まではいれなかったのだけれど、このタイムテーブルのおかげで3組とも見れた。3組ともよかった(全部見てないのにいうのもなんだけど)。特に高井さんの声のダイナミクスと質感のバリエーション豊富さが凄かった。のみならず、フェイクっぽいヴォーカルのフレーズをルーパーを使ってドローン的に演奏にとりこんでるのが、シンプルなのにめちゃくちゃよかった。歌声のサウンドとしての豊かさあってこそのパフォーマンス。

会場を後にして「かわいいウルフ」の小澤みゆきさんと中華を食べる。初対面ではなく、下北沢B&Bでの「#わたしたちのやっていき」のときお会いしていたのだけれどちゃんと話してなかった。「インターネットしんどい」みたいな話ばっかりしていた気がする。なんか流れで「おれのツイッター論」みたいなことまで熱弁してしまって、おれはあのときむちゃくちゃダサかった。小澤さんすみませんでした。

宿に戻って温冷浴をやって寝た。

8日

チェックアウトまでマッサージチェアでだらだらして宿を出る。ここでも誤算だったんだけどほんとはマッサージチェアでだらだらじゃなくて寝るべきだった。めちゃくちゃ眠い。いやマッサージチェアで寝る、という合せ技も可能だけど。いずれにせよやはり睡眠は大事。

お昼はイシヅカユウさんと会う。特に用事があるというわけではなくたまたまタイミングが合った。初対面だったのでご本人目の当たりにして「本物だァ!!!!!」となり。よくファボらせていただいております……。特になにかトピックがあるわけでもなくふわふわとおしゃべりしただけだったけれど畑違い(音楽関係とかライターとか編集とかではない)の人とこういうふうにしゃべるの意外となかったなと思い、いやもちろんMV出たりご本人も音楽好きだったりして音楽の話だってしたんだけれど、不思議な体験、という感じ。

その後ネカフェで仮眠してやや浅い時間帯に渋谷の磯丸水産で軽く呑む。Twitterで知ってるメンツとテーブルを囲んでわいわいやっとるあいだにいい時間になってきて、渋谷CIRCUSでのNEO GAIA LEGENDへ。

なぜか最近メディアでとりあげられまくっているvaporwave。ムーヴメントとしては2009年を起点とするもののめまぐるしい変化を経た末に2010年代後半はそのポップ化、マス化が顕著になっている。もっと怪しげなムーヴメントだったものが、2010年代というディケイドのいち側面を規定するカルチャーになったわけだ。「思えば遠くにきたもんだ」って感じで総まとめするには悪くないタイミングだと思うものの、「いま流行ってる」みたいな扱いになるとちょっとわからんようになる。

そんなもやもやをうっすら抱えつつも体験したNEO GAIA LEGENDはかなり良いパーティで、vaporwaveといううさんくせーネットミームがこれほど多様で豊かな音楽性を包含するカルチャーになったんだと思うと凄いことだと思う。この多様さは反面でvaporwaveというジャンルのサウンド面でのわかりづらさをつくりだしてもいて、「別にもうこのレッテルにとらわれる必要もないんじゃないの? 次いこ次」とも考えてしまうのだけれど、このレッテルなしにはこのアクトたちをこうして見るなんて体験もなかったんだな……といわば「コミュニティとしてのvaporwave」に思いを馳せたりも。eccojams的なvaporwaveのクラシカルなスタイルをがんがんにアップデートした death’s dynamic shroudのライヴにはマジで感動。あと青龍WESTことパ音の柴田さん、あんた天才だよ。凄いライブだった。

翌朝、パーティが終わるちょい前くらいに体力がマジもんの限界を迎え「終 制作・著作/NHK」の文字が視界にちらついてきたので、CIRCUSをあとにしてネカフェに舞い戻る。そこではさすがに爆睡した。睡眠時間自体は短かったけれど。昼の高速バスで山形に戻るので、多少でも寝れてよかった。なんか変な2日間だったな……と思いながら、バスでも寝た。

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