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月別: 2019年12月

12月10日(火)

12月10日(火)

東京に向かう。中村佳穂BAND@新木場STUDIO COASTのため。

朝上野についてサウナ入って時間潰し、まずは東京ステーションギャラリーの「坂田一男 捲土重来」展。岡崎乾二郎による、岡山を拠点に戦争をまたぎつつ活動した画家のモノグラフ。最初のフロアでは画家の問題意識を師事していたレジェなどの参照を通じて明快にプレゼンしてみせる。ここまで、ややゆるやかではあれある程度「先行世代」とか「同時代」を意識させる構成なのに対して、次のフロアでは一転、キュレーション上のアナクロニズムが炸裂しだす。画家のアトリエに起こった水害というカタストロフ(しかも2度訪れる)に起因して、作品の年代同定が困難である故に要請されたアプローチとも言えるが、カタストロフとアナクロニズムをどのように捉え、作品の解釈へと戻していくか、のあたりやはり見事。画家の仕事を性質の異なる空間がカンヴァス上にひしめきあう緊張状態を追究したものと示した上で、さらに水害を経て異なる時間がこの画家の作品のなか、キャリアのなかに併存しだすのだ、と一次元つけくわえる展開の仕方も、その展開にあわせて参照する他の作家の時代的なスパンも広がってアナクロニックになってくる(ジャスパー・ジョーンズ、リチャード・ディーベンコーンとか)あたりも凄い。互いに異質な諸要素の併存というテーゼが作品、シリーズ、画家の仕事全体、そしてキュレーションの手際にも貫かれている。その点で最も印象的だったのは画家のデッサンをまとめたアーカイヴ展示及び最晩年の作品の紹介で、時系列が錯綜するアーカイヴや黙示録的な主題に取り組む最晩年の仕事をアナクロニズムの実践として説得的に見せる、かなり巧みな構成になっていた。ヤバい~と思って図録を予約。1月にまた東京いったときに見直すかもしれん…

次いで東京都現代美術館。ダムタイプ展は実はそこまで、という感じだった。インスタレーションになるとダムタイプの作品はなんだかルックスがめちゃくちゃシュッとしてしまうけど、そこに身体が入り込むとなんかやけにユーモラスに、あるいは感傷的になるあたりが好きで、そこから言うとインスタレーションとアーカイヴメインでパフォーマンスは資料映像を……となると、なんか違うな~と思っちゃったりする。まあまだボリューム足らんでしょう、やっぱりパフォーマンスアーカイブの上映とかもあわせて見れた人はよかっただろうね。同じく現美のMOTアニュアル、THE COPY TRAVELLERSや吉増剛造プロジェクトが思いの外よかった。THE COPY TRAVELLERSはフラットベッドやモダンな写真あるいはティルマンスなどの現代写真のインスタレーションなどもうっすら思い出しつつ(平面への機械的な還元、固定されないテンポラリーなイメージなど)、それを都市や生活の風景に引き戻すもうワンステップで結構オッとなる手応えがあった。思えばTHE COPY TRAVELLERSの各メンバーの展示って京都時代に割と見てたんだけどユニットとしての展示はほぼはじめてだったか。吉増剛造プロジェクトは個人的に最近言葉と音に関心を寄せていることもあって、あと君島大空や崎山蒼志といった若い世代のSSWが吉増剛造読んでるみたいな話してるのを見て、じゃあ見とかないとな…と目当てにしてきた。手稿、執筆の様子を収めた映像(セルフドキュメンタリー的な)、映像から採集したアーカイヴ音声を援用したサウンドインスタレーション、という構成で、各々作品としてというよりは詩人の創作プロセスの追体験みたいなニュアンスで興味深かった。

夜、中村佳穂BAND見に行く。なにげにSTUDIO COASTは初。運良くかなり前方に陣取れたので堪能した。バンドの演奏も素晴らしい、中村佳穂のパフォーマンス力も素晴らしい、楽曲もアレンジやツナぎが面白かったし、なにより新曲がどえらく良かった。白眉は石若駿とのデュオ。割といろいろ書くことはありそうだが、うーん、でもそんなにはない。めちゃくちゃダンサブルな楽曲がつぎつぎかまされているわりにフロア爆踊りとかじゃないんだな~とか(クラブじゃないんだからそうだろう、とは思う)。バンドは現状でも凄いけどまだ先があるよな、いまは「音楽性を拡張していく」フェーズであって、そのダイナミックな変容の過程こそが面白いところだよな、とか。新しい機材、楽器を導入して、いろんな音楽性にチャレンジして、破竹の勢いで発展していくバンドを見ている面白さがまずあって…… まあいろいろ、うーん、思うところはある。が、日記でさくっと書いても伝わんなさそうだしもうちょっとがんばろう。

宿に戻ったら宿の真向かいからすげぇエグい低音が漏れてて、客室のカプセルにも余裕で入ってきていて「大丈夫か…」となった。23時過ぎくらいに音はさすがに止まったけど。

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