今年もよろしくお願いします。今回あんまり曲数ないですが。
?si=1a7e7fe8ace245a0Lil Uzi Vert - Red Moon
Lil Uzi Vertの新曲は軽やかなドラムンとトラップが溶け合うメロディアスな1曲。クライマックスに達さず、ずっとエモさのプラトーに宙ぶらりんみたいなバランスが絶妙で、ビートがスイッチするタイミングもこれみよがしのところがないのが良い。
元ネタはブルックリンのインディ・ポップデュオ、CafunéのTek Itのアコースティックヴァージョンということです。
https://twitter.com/wearecafune/status/1740074344276009462
In The Blue Shirt - Time (feat. Stones Taro)
アリムラ先生(実際に先生になってしまわれたが)が年末にリリースしたEPではビートのアレンジで京都の盟友Stones Taroとコラボレーション。UKGやドラムンの硬質なビートがひんやりとしたメロウさとジャストフィットしていて、これはナイスコラボやと思いました。ここでピックアップしたのはドラムン/ジャングルな1曲。異なるスタイルが組み合わさった以上のケミストリーがあって、こういうコラボって結構貴重かも。
Sully - XT
UKはノリッジ拠点のプロデューサー、SullyがBasic Rhythmとスプリットシングルをリリース。パーカッションもブレイクビートの刻みもどこか歌うようというか、パーカッション・アンサンブルの演奏を聴いているような響きの豊かさがあってめちゃくちゃ面白い。構成としてはかなりベースとパーカスとブレイクオンリーのストイックなものなのに、どこか親しみやすい表情がみなぎっていてよかった。
They Hate Change - Wallabees & Weejuns
フロリダ・タンパのラップデュオ、They Hate Changeがアルバムリリースを発表、そこからの先行シングル。96 Backをプロデューサーに迎えたこの曲はエレクトロニカ的な端正な響きもあるジューク/フットワークからきゅっとビートスイッチしてファンキーな4つ打ちのハウストラックに一転。エクレクティックなのにリズムの力だけじゃなくてリズム自体がメロディックにも感じられる作り込みが心地よく、ラップともフィットしている。
dj galen (galen tipton) - brain juice
recovery girlとしても知られるgalen tiptonはアンビエントとぞわぞわ系ASMRを横断するようなおもしろテクスチャ音楽をやっていてかなり好きなんですが、これはフロア寄りのサウンドを展開するdj galen名義でのリリース。みょうちくりんな音響が詰まった上モノがビートのインパクトと拮抗している感じが微笑ましく、かつ興味深くもあり。
Batu - Other Means
昨年は自ら新たに立ち上げたレーベルから2枚のEPをリリースしたブリストルのBatuが年明けから早速シングルをリリース。ストイックに打ち付けるビートに対して拍節の感覚をゆらゆらと交わすようにモジュレーションし、レイヤーされていくサウンドがやはり面白い。コンスタントなリズムの上で不定形のセッションが繰り広げられるような時空のねじれ感も、ひとつひとつのサウンドの響きもおもしろい。濃密です。
Loukeman - Easy
トロントのプロデューサー、Loukemanが2021年のアルバム『Sd-1』に続くニューアルバムをリリース。うっすらビットクラッシュをかけっぱなしにしたような朧気なローファイさと緩慢なBPMに身を浸していると、ビートがリズムを刻む以上にある種の気分を封じ込めているように思えてきて面白い。メロディなのか、リズムなのか、ノイズなのか、響きの中でいろんなものがあいまいになっていくなかにシンセのリフやアルペジオが入ってくると変な異化効果がある。構造的にはダンス・ミュージックなんだけどテクスチャの妙で違う世界が見えちゃうのはTwo Shell聴いてるときの感じに近い。
Logic1000 - Every Lil’ (feat. DJ Plead & MJ Nebreda)
オーストラリア・シドニーのDJ/プロデューサー、Logic1000が3月にニューアルバムを発表。そこからのリードシングルはメルボルンのレバノン人プロデューサーDJ Plead&フロリダのヴェネズエラ出身シンガー/プロデューサーMJ Nebredaとのコラボレーション。ゆったりとしたテンポの4つ打ちに、DJ Pleadのカラーを感じるパーカッションづかい、そしてMJ Nebredaのヴォーカルが組み合わさる渋いトラック。DJ Pleadは2022年作「Quick E.P.」が好きだった(Bandcamp)。
tripleS - Just Do It
ぼんやりしてたらいまだに全貌がよくわかっていないK-POPガールズグループ、tripleSがサブユニットNXTでリリースしたシングル。ヴォーカルを軸にしたダンス・ポップでK-POPらしさを感じさせつつ、クールな展開と思った以上にわちゃわちゃ鳴ってる整理されきってない音の群れがいい意味でフックになって耳に残るというか。「Hey!」のチャント、リバーブかけすぎでは? それがいいのだが。
serpentwithfeet - Safe Word
こちらもニューアルバムのリリースを控えるserpetwithfeetのシングル。哀愁を誘うラテンのビートにオートチューンが美しくかかったヴォーカルが染み入る1曲。あけすけにセクシュアルかつきわめて親密なリリック(safe wordって、BDSMのプレイなどで使われる「これ以上はあかん」っていう合言葉ですね。Geniusで見たらちょっと笑うくらい直接的な内容だった)が印象的。
Faye Webster, Lil Yachty - Lego Ring
中学校からの友人だという(!)Faye WebsterとLil Yachtyのコラボレーションは、Websterらしいインディ魂が近年のLil Yachtyのサイケ趣味と絶妙に噛み合っていてめちゃ面白い。ふたつのビートを変わりばんこに往復する構成も妙だけどすごく良い。Lil Yachtyのあの始終震えっぱなしの声が少しコミカルでもあり、しかし楽曲に漂うアーシーながらも幽玄な雰囲気にぴったりとマッチしてもおり。
映秀。 - Boys & Girls
若手シンガーソングライター映秀。のEP「一寸先の貴方へ」の収録曲なんだけれど、クレジットを見るとプロデュースがなんとTennyson(もう1曲、「左様なら」にもクレジットあり)。たしかにSEもふくめてすごく端正に組み立てられたサウンドはTennyson印で、Thinkブレイクの「いぇー!ふー!」が遠くから上品に聴こえてくるのがやたらよくて笑ってしまった。Tennysonと映秀。は以前から交流があるよう(「ついこないだTennysonというカナダ人のアーティストと初めて遊んだ時。僕も彼も頑張って互いの言語を使いながらもじもじコミュニケーションをとっていたのだけれど、セッションをした途端何かがつながったかのように仲良くなれた。」とInstagramのポストにある)。
QWER - Secret Diary
K-POPガールズバンド、QWERのデビュー作から。メロディの感じが懐かしK-POPっぽいと同時にアレンジがずとまよとかポストボカロっぽい感じで頭がちょっとくらくらする面白さ。ボカロ感で言うならメインの「Discord」のほうがリリースカットピアノもがんがん出てきてマジで「それ」すぎるんだけど、好きなのは「Secret Diary」かなぁ。元NMB48の李始燕がメンバーだそう。マジか。
麻倉もも - 幸せって書いて
(o・∇・o)
Creepy Nuts - Bling-Bang-Bang-Born
「ビリケン」からジャージークラブづいているCreepy Nutsの新曲はアニメ「マッシュル」のタイアップもあって早速TikTokでバズっている。この曲、ジャージークラブ要素はもちろん重要なんだけれど、どちらかというとちょっとエレクトロスウィングっぽい上モノとミーム化しやすい意味のないフックが勝利の要因という感じが。