北村紗衣『批評の教室――チョウのように読み、ハチのように書く』(ちくま新書、2021。アフィリンク注意)を読んだ。面白くて一気読み(新書なので読みやすいというのもある)。具体的なノウハウと理念的な話(「べき」論、というか)のバランスがいいのと、「実例/実演であると同時に演習にもなっている」というような構成が随所に張り巡らされていて、そのやり方自体に学ぶところが多い(自分が真似して実践できるとは言っていない)。具体的なノウハウについては、何様だという感じだが「我が意を得たり」と思うポイントばかりだった(これも自分がじゅうぶんに実践できているとは言っていない)。
しかしふと思うのは、たとえば「チェーホフの銃」のくだり(Kindleで読んだのでページ番号を示せないが、「✟トイレには死が潜んでいるので、少しだけパラノイアになろう」の節)やモチーフに着目する手法を解説するくだり(✟モチーフ早見表をつくる)では「繰り返し登場する描写、もの」の例として『007スペクター』の「穿孔と浸透」(前者の節)、タランティーノ作品における「閉所監禁」(後者の節)が挙げられるのだけれど、後者はまだわかりやすいけど前者の抽象化の度合いって結構高いよな、繰り返し見たり触れる作品が多ければ直観的にそうした抽象化のこつはわかるのだろうけれど、そもそもこの感覚ってなんか不思議な感じがする。といって自分がそういうことをやらないわけではない。「すでに見えるものを集めている」だけではなく、そもそもこうした抽象化されたモチーフに気づくことが「ものの見方」の技能なんだよな、みたいな。そういうことを……。
あんまりみんなに信じてもらえないかもしれないけど、Microsoft Edge、意外と細かいところで気が利いていていいです。
朝起きたらStudio Oneのブラックフライデー割引が始まっていたので、いそいそと購入。Plugin Boutiqueで買おうと思ったら使いたいクレジットカードが使えなかったこともありPresonusのサイトから。5からの新機能がどうとかわからないのでなかば義務感から…だったのだけれど、付属EQのバンドが増えて超低域用のができてた。これは地味によい気がする。ほかにもエフェクトで加わったっぽいのがある。まあぼちぼち試していきます……。
海の幽霊 (hirihiri remix)、久しぶりに聴いてやっぱりめっちゃよかった。
?si=7854cdd6aa8b4186おれなんだかマカロニえんぴつが絶妙に好きで、曲のひねりも、サウンドも流行りっぽい感じでは必ずしもないけどいつも面白いことをやっているのも、いいと思う。
「おげんさんといっしょ」見る。星野源についてはわりかしアンビバレントな評価(すごいし重要と思うが好きかというとそうでもない)でおげんさんも眉に唾つけて見るのだがなんだかんだで全部こころがもってかれてしまう。内容もツボだし、現代TVバラエティの作法とちょっとずれている(昭和の和製シットコム的なノリ)のも悪くないし、語り口として、教育的・啓蒙的なもののあり方としてとてもよい。しかし、家族の役割をめぐるジェンダー転倒のコンセプト、果たしてどこまでいけるんだろう? みたいな気持ちもある。なんかもっと、なんていうの、脱構築するようなしかけがあってもいい気がするし、そうじゃないならやめてもいいのではないか。