ポップ・ミュージック読書会(仮)、通称ポプミ会というのを始めた。単純に、文献とか読むときにひとりだと寂しいしモチベも持続しにくいので。といっても、「これを読みたい! いや読まねば!」みたいなそういう個人的な実利よりは、人と喋りながら読む機会をつくることに主眼をおいている。これで定期的に人前で読んだものについて話すリズムができたら、自分の勉強もサイクルができるのでは……と期待しつつ。
初回は11月22日(日)、専用につくったDiscordサーバーで行った。ボイスチャンネルを中心に、適宜テキストチャットも用いながら会話するかたちだ。読んだのは、SNSで軽くバズった、モーリッツ・ソメ「ポピュラー音楽のジャンル概念における間メディア性と言説的構築——「ジャパニーズ・シティ・ポップ」を事例に——」だ。これ、阪大音楽学研究室のジャーナルに掲載された翻訳論文なのだが、折からのシティ・ポップ・リバイバルもあり注目を集め、問い合わせが殺到。当初は予定になかったPDFでの配布が急遽実施されることになったほどだ(ダウンロードはこちらから)。
初回だし……と自分でレジュメを切り、当日はホスト的に進行。参加者は十数人ほどだったと思う。ボイスチャットでアクティヴに話していたのはわたしを含めて4,5人で、声では参加しないけれどテキストチャットでコメントを流してくれる人も数人おり、タイミングを見つけてテキストチャットの読み上げをして流れをフォロー、みたいな感じで進めた。
どのくらいの長さになるのか、読みきれるのか、まったくつかめないまま見切り発車で始めたこともあって、3時間ほどの長丁場になってしまった。ディスカッション自体はそんなに途切れなかったので密度は高かった。次回も3時間? やってもいいが、多少休憩などペースの調整はいる気がするな……。
講読文献の翻訳を担当した阪大の加藤さんが参加してくださったこともあり、論文のよってたつ文脈や細かい解釈などについてコメントいただきつつ進められた。これはよかった。あやうく五里霧中になるんじゃないかと思えたタイミングがあったので……。今後読む文献の性質にもよるが、著者や訳者を招くことができるのであれば、試みてみたい(とか言っていると、お前の本読んだらいいんじゃないのかみたいな提案があったりして、やぶ蛇なのだが……)。
終盤は、論文のむすびが近年の海外から逆輸入的にもたらされたシティ・ポップリバイバルのまとめだったこともあり、そこから派生して今後の展望みたいな話になり、自分からはネオシティポップの見直しとか地方文化との接続が大事なんじゃないかという提案をしたりした。そのへんは加藤さんによる書評論文(「〈書評論文〉「シティ」たらしめるものは何か?:シティ・ポップ研究の現状と展望」。ソメの論文と同じページからダウンロード可能。)でも軽く触れられているポイントだ。
反省点としては、もうちょっとアクティヴに話す人が増えるようにファシリテートできないかなというところ。あと、録音なりなんなり、ある程度記録を残しておいたほうがよさそう、ということ(院生のときは読書会では議事録とったりしてましたな……)。これは次回にいかしたい。とはいえ、あくまで自分が言い出しっぺで他の人には参加していただいているという立場なので、むずかしいなあ。