imdkm

 Wilcoのフロントマンによるソロ作。曲自体はわりかしWilco節なのだが、よりプライヴェート感あふれる手触り。デッドながら温かいサウンドが70年代の名盤みたいな風格を漂わせててほんと素晴らしい。「How Hard It Is For A Desert To Die」や「How Will I Found You?」みたいに無茶苦茶スローで言ってしまえばスカスカな曲も、アンビエンスを強調したりリバーブで空間を埋め尽くしてしまわず、弦の豊かな鳴りを活かしつつ、カウンターメロディやささいなフレーズを積み重ねて空間を満たしていくアプローチがシンプルながらめちゃ効果的。特にボリューム奏法の使い方が素晴らしくて、「Let’s Go Rain」で左右チャンネルに満遍なく重ねられたボリューム奏法の音色が空間の奥行きをぐーっと演出するところとか、もうほとんどオーケストラっつーか。ギターを丁寧に重ねて配置していくことで表現できることってまだこんなにあるんだ?! っていう驚きがそこかしこにある。年間ベストアルバムにランクインしているのも見かけたけど納得。ただ豊かなソングとサウンドに身を委ねてもいいし、じーっくり聴いて研究するのもいい、素晴らしい仕事だ。

WARM

WARM

このページをシェアする: X | Threads | Bluesky