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月: 2020年2月

翻訳はムズい

 スティーヴ・アルビニ「音楽の問題」(1993)という記事を読む。アルビニが90年代に書いた文章の邦訳。べらぼうに面白いが、ところどころ訳に違和感がある。大筋を理解するのに差し障りはないものの、気になる。原文も読んでみた。

 たとえば第2節の2で「自尊心のあるエンジニアが自分たちを「プロデューサー」と呼んでいるのは、それが理由だ。」は原文では’That’s why few self-respecting engineers will allow themselves to be called “producers.”’で、「自尊心のあるエンジニアたちに自らを「プロデューサー」と呼ばせるような奴がほとんどいないのはそれが理由だ」である。心あるエンジニアなら自分を胡散臭い「プロデューサー」なんて呼ばせたりはしないよ、って話だ。

 その少しあとに出てくるエンジニアに必要なスキルの箇条書きで「所有している音楽スタイルの経験。明かな失敗作はいつできるのかを知るため。」というのは’Experience with the style of music at hand, to know when obvious blunders are occurring.’で、「手掛けている音楽のスタイルへの経験、明らかな失敗が起こっているときに気づくため」だ。

 さらに第3節の3段落目の冒頭「結果として」とあるのは’to that end’で、「その目標に向けて」だろう。目標とは、前段落で示される「メジャーと契約する」である。

 あと、微妙さの説明がむずいが、以下の部分も違和感がある。

 今やすべてのロックバンドは、音楽業界のマヌケを見抜けるほど物分かりが良いのである。時代遅れのギョーカイ用語を使って、誰も彼もを「ベイビー」と呼びながら早口で話す、恰幅のいい中年の元ヒップスターという、ポップカルチャーではよく知られた風刺画もあるくらいだ。 しかし「そんな」A&R担当とのミーティングの後、そのバンドはメンバー同士で、またその他の人々に対してこう言うのだ。「彼は全然レコード会社の人間っぽくないよ!俺らと同じだよ!」 そう、彼らは正しい。それが彼が雇われた理由の一つだ。」

https://shuwatanabe.com/voice/the-problem-with-music/

 原文を見ても、ここまでの話を考えても、この段落でアルビニが言いたいことは、「いまどきのバンドはうさんくさい業界人を信頼しないくらいには賢い。しかし、だからこそ自分らと似て若く話が通じるA&Rにはころっと騙されてしまう。業界もそれをわかっているからそういう若いA&Rを雇うようになった」ということだ。しかし、この訳のなかで「「そんな」A&R担当」と言われている対象はちょっとわかりづらい。具体的に言えば、直前の古臭い業界人像が「そんな」の指示対象ともとれてしまう。原文では「そんな」はダブルクォーテーション付きの”their”なので、「バンドは「自分たちの」と思ってるけれども……」みたいなニュアンスがある。「そんな」と言うよりは素直に「自分たち」としたほうがいいだろう。たとえばこうなる。

 いまやすべてのロックバンドは、音楽業界のクズを信用しない程度には賢明である。[クズの典型として、]ポピュラーカルチャーにはよく知られたこんなカリカチュアがある。かっぷくのよい、中年の元ヒップスターで、早口でまくしたてるように喋り、時代遅れのジャーゴンを使って誰も彼も「ベイビー」と呼ぶ奴だ。[対して、]バンドは「自分たち」のA&Rとミーティングを終えると、自分たちにこう言い聞かせ、まわりにも同じことを吹聴するだろう。「彼はレコード会社の人間っぽくない! 自分たちと同じみたいだ」彼らは多分正しい。それこそがそいつがレコード会社に雇われている理由なのだから。

 こうした誤訳(うーん、「誤り」というのは気が引けるのだがあえてこうしておく)が起こる理由もわかる。英語の表現をなるたけ崩さないよう、しかし日本語として成立させるのはけっこう特殊な技能で難しい。それに、特に報酬が発生するでもない私家版の翻訳である。このサイトの方は翻訳を仕事にされているそうなので、たとえば仕事ならばもっと詰めるのかもしれないが、個人ではとりあえず読めるくらいの文章でも公開するのは正しい。資料的価値のほうが優先するからだ。

 自分も邦訳のない文献をあたって引用するときに必要に迫られて訳すことがあるけれど、できれば避けたいな……と思ってしまう。自分は英語がそんなに上手くない(喋りはほぼだめ)から、めちゃくちゃ辞書ひいて、文法書をチェックして、ググって、なんとかする(この記事も辞書とGoogleさまさまである)。しかし、逆に言えば、丁寧に調べれば読めるし、時間をかければ多分そこそこ妥当な案は出せる。根性論みたいになるけれど、いまどきはKindleにも辞書機能はあるし、こんな便利なChrome拡張もあるから、思うほどめんどくさくはない。

1件のコメント

2.5

 6時くらい起きる。ヨーグルトが賞味期限切れそうになってたので、ミューズリーを食べる。もっさもっさもっさもっさ…… レーズン好きじゃないな~ってレーズン入ってないミューズリーを食べてたんだけど、もしかしておれが苦手だと思っていた風味はレーズンじゃなかったのかもしれんと思いはじめる。レーズン、お前のせいにしてごめんな。たしかにレーズンサンドとかラムレーズンは好きだからな……。
 2019年分の帳簿が姉から送られてきたので見る。まあ、こんなもんですよねぇ……。2020年、がんばりたいと思います……。担当編集から連載のプロットはよ送れとっとと始めんぞというメール(文面はとてもやわらかいが、内容とタイミングがそんな感じ)も来ていて「ひぇ~」と声にだす。声に。マジで。
 昼、なんでか、寝まくってしまった。なんでだ。マジで正午すぎてから16時くらいまで寝てたね。締め切りが近いんですが……。
 長島有里枝さんの記事。男性中心主義的な「女の子写真」言説を批判し、かわって「ガーリーフォト」の名を選び取って、第三波フェミニズムと結びつけつつ1990年代の女性写真家の活動をフェミニズムの実践と位置づけ直す。本、出たんだった。いつ読めるかな。図書館にリクエストしとこうかな。

 昨晩アップロードされた上田麗奈(aka しゃま)の新曲「あまい夢」、手掛けたのはORESAMAということで軽快なディスコグルーヴが満載だが主役をあくまで声におくためかウワモノがかなり控えめで上品、エレガント。声優らしい声の立ち方とシンガー的な上手さのバランスが良く、ときにウィスパーに寄せる歌唱もとても良い(「静寂が訪れる」でビートが消えてひそひそ声になるあたりとか……)。前作ではウィスパー寄りの声を中心に置いたMumかなんかかというエレクトロニカもあった(シングル「sleepland」 )が、それもよかった。今作でもあるかな。ティーザー見る限り多分あるんだよな。

 CERO新曲。クロスリズムや変拍子、拍子のモジュレーションが折り重なった前作から、ドラムのグルーヴはシンプルに快楽的になり、しかしゆるやかに流れるコードとヴォーカルをとりまくキーボードやブラスのリフ、そしてチャントがさらに重層的にグルーヴを編み込んでいく……といった感じで、良い。リズムもハーモニーもメロディも複数のレイヤーが重なっている感じ。ライヴでどうなるんだろう? これぱっと聴きのシンプルさに比してライヴですごいグルーヴするんじゃないかな。

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2.4

 5時起き。Ozone 8 Elements、昨年の秋とか? 夏か? 無料配布してたのをゲットはしてたんだけど、インストールするの忘れてた。のでインストールして使ってみる。「わぁ!」みたいなのはあんまない。ただストリーミング向けのラウドネス目標にあわせて調整してくれるのは目安としていいなぁ。
 Twitterってコミュニケーションのプラットフォームだ、あるいは言論の、運動のプラットフォームだ、みたいな受け取られ方をけっこうしていると思うが、本質的にはマーケティングっていうか、広告のためのプラットフォームだよね。Twitterが「広告無しの有料プラン」みたいなんを絶対やらない理由はそこにある。商売相手は広告主であって個々のユーザーではない。邪推だ、ビジネス的にこれが理にかなってるかわかんないけど、広告主はヘヴィユーザーほどリーチしたい(バズの源だから)一方、仮に有料プランをつくったらヘヴィユーザーほどそっちに流れる。すると広告主のうまみもなくなる。みたいなね。ま、結局広告じゃん、みたなのって、テレビとか新聞、雑誌も似たようなもんだろうけど、マーケティング的行動原理の内面化がいいね/RT数やエンゲージメントの数値によって苛烈に進んだ、その罪は大きい。
 TuneCoreで配信してみたいな~って思って昔の曲をミックスしなおしているが、ためしに曲に使っていたブレイクビーツをSpliceで探した似たものに差し替えようとしたり、変なことに手を出して泥沼に。
 昼過ぎ、山形市内まで行く用事があるのでがんばって外出。気合をいれるために温泉に寄る。温冷浴をやって、ビンビンです。冴えました。
 まず山形県立図書館、リニューアルオープン後初めて行った。前までよくわからない(失礼)ロビーだった空間に雑誌・新聞コーナーが移設されて、開架全体が広くなっていた。あとすぐ隣に駐車場が新しくできてた。前まで数百メーターほど離れた県営駐車場使ってたから地味にうれしい。
 八文字屋本店に寄って、目当てのものがないので早めにきりあげ、ミサワクラスに置きっぱなしにしていた荷物をとりに行き(遠藤さんにお貸ししていた寝袋)、帰宅。

 070 Shakeのアルバム、聴こう聴こうと思いつつしっかり聴けてなかったんだけど、めちゃくちゃいい。ヒップホップ……なのか? ビートのセンスもいい、メロディアスになるでも、トラップっぽくおさまるでも、画もラップになるでもなく、ジャケのイメージも納得のレトロフューチャー観。しかし安直にSF的ギミックでおすのではなく、ややsynthwaveっぽい音のテクスチャ―やコードを白玉でべーっと鳴らす感じ、刻みすぎずにスクウェアに進んでいくリズム、謎のギターソロなどでうまくレトロ感を取り入れつつ、総合的にはちゃんと今っぽい。歌詞はまだちゃんと読んでませんが、「あ、この曲いいな」って思ったら曲名が”Divorce”でなんなんだこのひと、と思った。

 Kitri、結構好きなんだけど、これ車に乗ってるときにSpotifyから流れてきてあーやっぱすげーいいと思った。ピアノの演奏がポップスっぽくない、クラシックか唱歌かみたいな(あほの感想)。そこがよい。

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2.3

 7時くらいに起きる。夢で、元SMAPの面々が同じ十字路でニアミスする(互いに認識はしない程度のぎりのすれ違い)のを見てひやひやしていた記憶がある。あれなんなんだ。

 これ電算機さんとこで知ったけど、ダイキンがこんな案件をやっているのか。ベトナムのダンスコレクティブとダンスでコラボ。コレオも撮影も委託しているらしい。ダイキンといえば、文化振興事業をやっている。「ダイキン工業現代美術振興財団」っていうのがあるのよね。まー企業広告案件だからどのくらいそれと関係あるのかわからないけど、文化振興に積極的な社風ではあるのかしら。
 Jasmine InfinitiのFACT mix、好きだ~。ジャージー、ボールルーム、ハードミニマル、ガバをダークめの感じでまとめて繋いでいく。ハードミニマルは良い。
 GEZAN『狂(KLUE)』聴く。まず一周だけ…… 一定のやや遅めのBPMでずん、ずんと刻まれるグルーヴ自体良く、そこから倍/ハーフの行き来、リズムパターンの変化によるスピード感の変調などを駆使する部分にやはりぐっとくる。レベル・ミュージック的側面については割愛(しかしFREE REFUGEESはすごいね)。3時間くらい延々このノリでやるようなライヴとか見たいっすね。無茶振りですが……。
 昔の曲のプロジェクトファイルをいじっていると、とっくの昔に使わなくなったVSTやVSTiがたくさん使われていて、また探し直さないといけないみたいなのがけっこうある。それがドラム音源だったりする場合、手持ちのサンプルに差し替えたほうがだいたいよくなる。しかしシンセ系だと、VSTiがみつかんなかったばあい、音作りからしなおして…みたいなのが。。。きつい。。。そっちのほうがよくなる可能性は俄然高いけど。MIDIコンについてきたバンドルのVSTiがあって、URLもシリアルももうわかんないよ。。。と頭を抱えていたら、ちょうどそのプラグインが1000円くらいで安売りされていたので、さっくり買った。自分が鳴らすぶんにはまあまあな音なので(さすがに数万円するプラグインほどよくはないが、プレイヤーではないからめちゃくちゃこだわりがあるわけじゃない)また使いだすかも。

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2.2

 夜中に何度か起きたから、何時に起きたか忘れちゃった。Gang of FourのAndy Gill逝去の報。まだ60代。新譜出したりライブしたり、活動してたのになあ。
 またシュクメルリをつくる。また乳脂肪分かタンパク質か、が凝固してしまう。濃いめの牛乳(スーパーで一番濃そうなのを買ってきた)が悪いのかチーズの入れすぎなのか。舌触りが違うのであんまりよろしくない。味はいい。
 『かわいいウルフ』以降活躍のつづく小澤みゆきさんと原稿のやり取りをして、送った10分後には仮の割付で組まれた参考画像が返ってきて、すげー仕事のテンポだと思った。個人や小さいチームでまわしていく強み、でもあるが、といって個人でやってるからってこういうテンポで進んだことそんなないからなあ。学生時代にフリーペーパーつくってたときは、原稿書いたそばから流し込んでもらう…みたいなのあったけど。あれを思い出す……。
 先日の田島ハルコワンマン、TLに流れてくる感想や動画がよすぎて、やっぱ観たかったよな…と思いつつ、実はハルコとフランシスがいっちゃん観てみたい気持ちがある。

 かっこいい。田島さんのベアテ・バルテルみが良い(ディレイいじってるところはロマン優光みたいでもある)。
 小袋成彬の『Piercing』を評価するときにFrank OceanとかSolangeを引き合いに出すのは、まあ影響もあるだろうし(そこにTylerも含めていいが)まっとうかなと思うけど、かれがいまロンドンにいてロンドンの音楽にたくさん触れていたり、ローファイヒップホップに関心を示したりしていることがややおいてかれがちなのがよくないのでは、という気がする。

 『文化系のためのヒップホップ入門3』でSheck Wesがすごい扱い(大和田さんいわく「シェック・ウェスの〈Mo Bamba〉も最初きつかった」「これはきびしい」、長谷川さんいわく「これ、ヒップホップを通り越してジャイアンの歌ですよね」。239-240頁あたり参照)だったので、「おれけっこう好きだったけどな~」と思って昨年リリースされてた曲を聴いたらジャイアンみは減ってるがめちゃくちゃよかった。ラップが上手いとかじゃなく、なんか全体的に良い。リズムもゆるいんだけどビートの選び方とそこにフィットさせるデリバリーのセンスというか。
 「映像研には手を出すな!」4話までの一挙放送を見る。原作未読。伊藤沙莉さんの演技いいっすね。3人組でいうと完全におれは金森タイプ(つくりたい! みたいな熱意はあんまりない、つくるのけっこう好きだけどね)なので、しかもそれがむっちゃん(田村睦心さん)のCVなのでうれしい。水崎氏のCVやってる松岡美里さんてアイムの新人なんすね。声優のはなしばっかしてんな。1話めっちゃいい、そのまま2,3話と進んで、4話に至って「これどうなっていくんだ?」と思ったところで最終的に無理やり主人公たちがつくるアニメの力を強引にとんでもねー演出で見せていくのが凄いね。つくる喜びからつくりあげる困難を経て、そうかんたんに達成感なんて言葉で終わらせない熱意の発露をさらっと見せてるあたりとかも。
 どうでもいいんだけどB-Tのトリビュート盤シリーズのサブタイトルが”RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK”で、このrespectiveってどういう意味のつもりなんだろう、と思った。ふつうrespectiveといったら「おのおのの、それぞれの」という意味だ。意味は通じているが言いたいことはわからない。敬意のニュアンスを入れるならrespectableだろうが、でもそれもなんか違う気がする。

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2.1

 昨晩はなんだかんだ4時くらいまで仕事していて、起きたのは8時。眠いが、締め切りが近い。しかも3本くらいかぶってる。「これは書けるし、書きたい!」というのがフィットする幸運に恵まれ。まあ、一本でかいの(分量自体が8000字くらいある。すでに超えてるけど)以外は、落ち着いてやればちゃんとできるはず。いや、でかいのも落ち着いて堅実にやればできるんですよ。ですよね……。
 二木信さんと吉田雅史さんの「日本語ラップ最前線」対談、とてもおもしろい。CampanellaとRAMZAがやったやつやっばいっすね~。

 すんごいやんばい。記事の中で繰り返し触れられているけど、ブーンバップとトラップ、という二項対立ではすくいきれないビートの多様性あるよなー。吉田さんのビート分析の本はやく読みたい。いつ出るのかな。なんかさやわかさんとのゲンロンカフェでのトークでちらっと言ってなかったっけ。
 やってる原稿、夜になって、最後の一節を書けたらあらかた完成する。でもそこがいちばん大変だ。あと、文字数が多分4~5000字くらいオーバーする。ごねたら全部載らないかな~(ごねませんが…)。あと、EvernoteからWordに移して整えないと。Wordって嫌いな人多いけど、おれは好きです。
 大和田俊之・長谷川町蔵『文化系のためのヒップホップ入門3』(2019)読了した。必要に迫られて……という側面もありつつ。ヒップホップがポップカルチャーの中心に躍り出たことでヒップホップというカルチャーの輪郭が曖昧になっていく、その様子が放談のなかに刻み込まれているのが面白い。これをカジュアルに読んで、Cardi Bを中心に置いてトラップ以降のビートの革新を論じた、大和田さんのwebちくまの連載最新回をチェックするとよきかと。
 LOCUST編集部が編集後記としてラジオをやっているが、グループはいいね。グループはいい。孤独だ……。考えてみれば『文化系のための~』も対談で(あとこれほぼ全部講義とかトークイベントですよね)楽しそう、いま話題の『2010s』も『ポスト・サブカル焼け跡派』も対談。ポコラヂのぐぐさん回も面白かったしな。みんな人と話していてうらやましくなってきた。かといって別に人と話すのそんなに好きじゃないからなぁ。やっぱひとりでいいかぁ……。

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1.31

 6時起きくらい。朝からDAWを立ち上げて曲を読み込んでメトロノームならしたり切り出したりしながらちょっと観察(分析というほどではない、というか「分析」とかしたことがない)する。よく「考察」とか「分析」とか言うけど少なくとも自分の書いたものについてはどちらも正直しっくりはこない。いや、まあ、自分でも言ったりはするんだけど。そう言ったほうが通じるかな、みたいな……。
 田中宗一郎・宇野維正『2010s』、荏開津さんが勧めているし、店頭で見かけたら買おっかな、と思って本屋行ったんだけどなかった。(タナソーがTwitterで予約してくれと言っていたのはたしかであったな……)一応ふたつまわった。『ポスト・サブカル焼け跡派』も、まあ、みかけなかったね……。ちなみに道中、拙著が八文字屋天童店に平積みしてある(しかも第二刷なので、たぶん最近入荷した)のを発見した。芦田愛菜の読書本を挟んで後藤護さんの『ゴシック・カルチャー入門』も平積み。この並び、一瞬「山形出身つながり…?」って思ったけど芦田愛菜は山形と関係ない。ヱクリヲつながりもあるし隣においといてくれたらいいのに(ちなみに『ゴシック・カルチャー入門』、全然読み終わってない。あと半分くらい。読み出すと一気にドライブするので「とっとこう」と思ってたらこんな時期に)。
 2010年代の(特に北米を中心として)ポップカルチャーを語るなら、渡辺志保さんと辰巳JUNKさんのコンビで本でたらいいのになって思う。対談縛りみたいなのがあるわけじゃないけど。柴さんのnoteの件もあってこないだ該当号のMUSICA読んだら、Mura Masa『R.Y.C.』評は渡辺志保さんのが過不足なく(最後にちょっと大胆なこと言ってみたり、というのも含めて)ポイントを抑えたもので、さすがだな……と思った。ちなみに入江陽さんの短評も「この作品がみんなにどんな影響を与えるだろう」ってところをピンポイントで突いていて、かつ作家評としてもおもしろい。
 そういえばこないだblueprint行ったときに拙著の売れ行きどーなんすかと聞いてみたら、Amazonでは動いてないが書店経由の注文(お客さんが取り寄せる客注っていうやつ)は結構コンスタントにあるらしい。正直「Amazonの○○カテゴリでn位!」みたいなのかっこいいな~って思うけど、そうじゃない売れ方してるのもうれしい。むしろそっちのほうがうれしい。
 割とヒゲダンを推している(実際好きな曲はけっこう多い)が、あんまり記事のなかで書くとあれげな話なのでここでふと書くと、いかがわしさがあるのがいい。それと比べるとKing Gnuのほうが律儀に音楽をやっていると思う(直近のヒゲダン新曲評で対比的に書いたので例に出したまで。しかしAメロやBメロといったパートごとに、ふたつのキャラが違うボーカルやメロディラインやリズムを役者や構図のごとく配置して場面を描きわけていく手際が「白日」ではかなり光っている。音楽に対してデザインという言い回しが最近よく聞かれるが、単にサウンドを配置するだけじゃなく各要素の役割やその意味を含めたトータルなデザインがすぐれている、それは素直に凄い)。ヒゲダンは歌詞のデリカシーやキャラが醸し出す垢抜けなさとは裏腹な粗野さとかあざとさとかがあって、でもそこがなんか好きなんだよね。King Gnuのほうが話はあいそうだなと思う。何様だよ。

 altopalo新曲、素晴らしい。異様な展開は控えめ(「mono」とかみたいな)だが6/4拍子ベースで進んでいくいびつさがつきまとう。「これは正解なのか……?」というウワモノの処理、急にThe 1975かなんかかみたいな感じにまっすぐになるサビ後、でも変な音鳴ってんだよな。わけわからん。ずっと。

 ヒョゴがニューアルバムをリリースしたのだがこれが凄い。ごりっとしたベースにアンビエンスたっぷりのドラムがおもたーいグルーヴを鳴らしながらも、妙な(しかしプリミティヴな)空間系エフェクトづかいで背景が埋められていく。前作から思い切った方向転換だな~と思ったけど、メロディラインの親しみやすさやアレンジの凝りかたを度外視すると、空間系エフェクトの使い方が妙なところとか、けっこう連続性がある! ことに息づいた。ただ、なお異物感はすごい。

 SEEDAのインタビュー、よいな。「JP THE WAVYさん」とさん付けで呼んでいて「へぇ…!」となった。あと最後のテンションの上がり方で爆笑した。

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1.28-30

1.28

 6時くらい? 起きる。しかし、おなかの調子が悪いのと昨日のインシデントでまったく心身が上向かず、昼過ぎまで寝てしまう……。いやほんと、ずっとアニラジ聴いて、脱力して、なにもする気が起きず……ゴミのような生活……。
 15時過ぎ、とりあえず風呂だけ入って、強制リセット。某原稿に向けて日本語で読める文献から潰していく作業に入る。もうひとつペンディングにしているタスクがあり、こないだの打ち合わせの内容を受けた連載プロットの練り直し&提出。これはできるかなあ。わからんな……。
 やっぱりメンタルがどうしてもだめで、寝てしまう。もうだめだ……。

1.29

 6時起きくらい。きのう、余ったバゲットを卵液につけていたので、フレンチトーストにする。食うが、フレンチトーストそこまで好きじゃないことに気づく。なんかぼんやりしてたらスッキリ!にタナソーが出ているという。ほぼ見れなかったけれど、なんかインパクトのある画だった。
 昼、かかりきりの原稿を進める。文字数は膨らむのになにかアンバランス(サーベイ的な記述と分析の分量がちぐはぐ)だが、とにかく進めてみるしかない。
 夕方は、いま全国をリサーチのためにまわっているアーティストの遠藤薫さんが山形にいらっしゃるのでアテンドというか、軽く案内みたいなことをする。といっても、自分も山形のことぜんぜん知らないので、この機会にいろいろ知らなきゃ、とも。RAF-RECにお連れしてお茶したり、ミサワクラス(もともと東北芸工大生が集まって始めたシェアアパート)につないだり……。RAF-REC行ったら網守さんの『パタミュージック』があったので買った。Spotifyで愛聴してたんだけど盤で買うタイミングをなんとなく逃していたので……。ワンマンで買うつもりだったんだけどなんか流れで買いそこねてた。ミサワでは大槌秀樹さんと根本裕子さんにご挨拶し、お仕事があるという大槌さんとはいったん別れ根本さんと遠藤さんとそばを食べる。のち、解散。
 きづいたら家に着いたのは23時半。ちょっとくたびれた。けど面白いお話もたくさんあった……。寝ます。

1.30

 [なんとこの日の日記は欠番だ。]

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1.27

 8時ごろ起きる。もろもろの連絡がありダダッと返信・中継などする。
 シュクメルリ再チャレンジ(朝っぱらから?! とお思いのあなた、あとで書きますがそのとおりですね。朝にやるもんじゃない)。完食できなかったしおっからいソースを牛乳でのばして再利用。自炊なんてそんなもんです。食べられる感じになりました。次はもっとちゃんとおいしくつくるぞ。
 で、即胃もたれになだれこむ。つれぇ……。
 仕事をしていたが頭痛がひどく(シュクメルリのせいではなく、気圧)、いっぺん頭痛薬飲んで寝る。バファリンってbufferingの意なのかな。などとどうでもいいことを考えながら……。
 昼に起き出すと姉が2019年ぶんのimdkm活動関連の領収書を整理したものを置いていっていた。去年は月ごとにざっくり整理しただけのものを姉に丸投げしたので、来年、というか今年からは自分でもなるべくやります……。
 グラミーの様子をTwitterとかで眺める。ビリー・アイリッシュが主要四部門制覇。まあ、めでたい。しかし、あんまりグラミーの存在感を過大評価してももうしょうがなくない? と思ってしまう。
 日本で同じくらいの存在感の賞があったらねぇ。レコ大? CDショップ大賞? うーん。Apple Vinegar Awardしかおもしろいと思えるものない。あれもフォローしきれていない領域はあるのだけれど、そりゃ個人が立ち上げた賞だもの。
 聖マリアンナ医科大学の件についてのまとまった見解。関係者っていうか、医学部受験に特化した予備校の人によるはっきりとした批判。内容はあまりに妥当。が、ここまで言わないとわかんねーのかよ、というようなしょうもねぇ性差別そのものみたいな意見がいろんなところに見受けられるので、そっちのほうが気が重たい。
 夕方にとあるインシデント発生ゆえにめちゃくちゃ凹む。もうきょうはなにもできない。バッドすぎて……

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1.26

 5時くらいに目覚める。昨日はなんだかんだでまったくなにもせず寝てしまった。後悔しかない。小腹が空いていて、といってなんかがっつり食べる気にもならねぇ~と思ったら、きのうのおれがミューズリーとヨーグルトを買ってきていたのだった……ナイス采配。もさもさたべる。
 8時半くらいまでなんだかんだしていた(嵐「Turning Up」のリミックスつくってみたり)が、やっぱり眠いので二度寝。11時頃起き出す。
 本格的におなかが空いていたのでシュクメルリをつくってみた。きのう買い物に行ったとき、材料はひととおり揃えた。といっても、にんにくと鶏肉、チーズくらいしか買ってない。さつまいもはふかすのが面倒なので省いた(やっぱないとだめですかね?)。松屋のあれしか食べてないが、ハーブとかの香りもなかったような気がするし、ネットで見かけたレシピもしごく単純だったから、だいたい作れるだろう、とふんだ。実際には、まあおそらく基本的な要素は再現できているけれども、いかんせん塩加減を盛大に間違えたせいで、めちゃくちゃしょっぱくなってしまった。塩加減は味見しながら慎重かつ大胆にやらないといけませんね……。
 シモの話なのですが、痔になった気がする。ひごろずっとデスクワークなことに加えて、バス移動しまくったせいだろうか。まだ痛みが出るほどではなく排便時に違和感がある感じ。あったかい湯船でマッサージしたらまだ治るような。
 昨日の日記で書いた「音楽ライターとして名を上げるかどうか」問題。現状、収入はほぼライター業で(言うても「めっちゃバイト入れてる高校生」くらいしか稼いじゃいない。実家住まいなのでなんとかなっている)、本も出したし欲を出して批評家と言いたいところなのだが、かといって「じゃあもっとプレゼンスを上げるために東京移住して仕事増やしましょう!」という気持ちにもならない。どうしたものだろうねぇ。
 波多野裕文さんが香川に住まれていることを思い起こす。その暮らしぶりの一端は音楽と人Webに掲載されたインタビューにも詳しい。昨年Tabula Rasaのツアーで山形にPeople In The Boxが来たときに観に行って、ご挨拶する機会があったのだが、香川に住んでいる波多野さんと山形在住の自分が顔を合わせて話すって結構すごいことだな、と思ったな。なかなか行けないもん(一度だけ、大学院のゼミ旅行なるもので香川は行ったことがあるはず)。
 ピエール中野がサンリオ好き。サンリオ好きな男の人、最近ちょっとだけ話題になってるよね(馬鹿よ貴方はの平井“ファラオ”光とか)。サンリオについてとくに思い入れがないけれど、ピューロランドにはめちゃくちゃちっちゃいときに一度だけ行ったことがあって、なんかへんにまがまがしかった印象がある。だから、サンリオちょっと怖いんだよね。キャラはかわいいけどピューロランドは軽いトラウマが。あれなんだったんだろう。メディアを通じて見るピューロランドにはそんなまがまがしさはない。
 ヒゲダンの新曲レビューの原稿をやっている。月末に予定があるのでちょっと急いで。いけるかなぁ……。
 町田康が語る、酒を断って見出した“文学的酩酊” 「日常として忘れていく酩酊感が読者に伝わったら面白い」
 町田康のインタビュー、おもしれー。
「町田:音楽というのは常に現在しかないですから。その瞬間のものですからね。瞬間を作って瞬間を共有するので、原因と結果が同時にその場で起きて、同時に終わっている。原因と結果がすごく圧縮されている。だから、事後的に振り返って確認はできないですよね。それが生きているということなんですよ。人間が有限の肉体を持って死ぬということの凝縮したものが1曲である。そんな感じがあるんです。」
 かっこいい。後編も良い。音楽、日本語、歌、語り、いろんな問題がぎゅっと凝縮された話をずっとしている。

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