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健康と能率イントーキョー

1年11ヶ月ぶりに東京へ向かう。3泊4日とまあまあ滞在することにした。

12/16

6時起き。なにを思ってか、前日は日付変わって2時ごろ就寝したため、完全に寝不足。荷造りはあらかた済ませていたのでシャワーを浴びて着替え、親に駅まで送ってもらう。新幹線で東京まで3時間。ばり眠いが、締切直前の原稿があるので資料を聴き込みながらなんとか車内で仕上げる。そのまま送るのは不安だったので、一晩寝かせることにする。

昼前に東京に着き、渋谷に向かう。久しぶりの東京で右も左もわからない。もともとわからなかったのだが。とりあえずタワーレコード渋谷店をひやかす。フロア構成ががらっと変わっていた。おもしろかったのは「ボーイズポップ」という分類がどどんと展開していたことで(昔からあったっけ?)非ジャニーズ・非K-POPな日本で活動する男性パフォーマンス/アイドルグループをまとめたような感じだった。この呼称、けっこう普及してるんだろうか。JO1やINIはK-POPのフロアにいたと記憶するけどこのへんの境界線のあいまいさあるよな……。

そのまま渋谷某所でポッドキャスト、TALK LIKE BEATSの収録。もう2年つづいている番組なのに、対面で収録したのはtofubeatsを招いた#1-3だけで、あとはずっとリモートだった。めちゃくちゃ久しぶりに姫乃たまさんと会い、わいわいする。まあ、内容は配信されたときのお楽しみ、で。正直、寝不足と移動の疲れでなに喋ったか覚えてない。ただ対面の収録ということもありテンポはよかった。たぶん前編あたり(つまりまだ体力があったとき)、いつもよりも図に乗った喋りになってると思う。

夕方に収録を終え、Zepp DiverCityへ向かう。KIRINJIのライブをみる。心身ともに疲労でバッド入りかけだったのだが、さすがに素晴らしい演奏で持ち直してくる。「小さなおとなたち」→「ブロッコロロマネスコ」→「爆ぜる心臓」の流れの素晴らしさ、「あの娘は誰?とか言わせたい」の切れ味、「非ゼロ和ゲーム」の味わい、Maika Loubtéが登場しての「薄明」……どこをとっても凄かった(ちなみに順番は混乱している、「薄明」は「非ゼロ和ゲーム」あたりより前か?)。MELRAWすげぇいいなって何度か配信ライブで見て思ってたけどやっぱかっこいいし、シンリズムのギターもよかった。「腕がある」のに加えてなんかスター性ある感じした、シンリズム。たたずまいは淡々としてるんだけど。

ぜんぜん気づいていなかったのだが、隣の隣の席がライター・編集者の小熊俊哉さんでびっくりした。終演後に声かけられて「ひぃっ」となった。ずっとステージ見てて気づかなかった……。

疲労感につつまれながらホテルにチェックイン。一泊3500円と格安だったのにまずまずの広さでアクセスも良く、勝利を確信した。

12/17

朝イチで都現美に向かう。宿からぎり歩けるじゃん、と思って歩いていったらそんなに甘くなく、案の定足が痛くなった……。タジタジさんと一緒にクリスチャン・マークレー、久保田成子、ユージーン・スタジオ、常設展を見る。

クリスチャン・マークレーが一番目当てといえば目当てだったのだが、実際に見てみると、正直あんまり……。パフォーマンスや映像は好きなんだけど、今回特にフィーチャーされていた視覚的表現については、なんかクレバーだしきれいにできてますね、みたいな感じで、冷めた感じで見てしまう。マンガやコミック等々の研究者がオノマトペを援用した一連の作品をどうみるんだろうな、とか(たとえば《Manga Scroll》における“Manga”と作品に用いられる言語と絵巻物という形態の関係、どうなんでしょう)。微妙じゃないのかなぁ。うーん。もっと素直に楽しめるのかと思ったんだけど。いや、もっと楽しもうと思ったら楽しめた気もする。ペインティングに萎えちゃった感じはある……。

反対にめちゃくちゃよかったのは久保田成子展で、60年代初頭に日本の前衛に触れ活動を開始した後、アーティストとしての可能性に賭けて渡米しフルクサスに関わり、ビデオアートのパイオニアとしてアーティストとしてもキュレーター/アクティビストとしても精力的に活動を続けたその足跡に圧倒される。また、ビデオ彫刻も生で見ると素晴らしくてびっくりした。以前、大学のころか、たしか階段を降りる裸婦のビデオ彫刻がどこかで展示されているのを見たことがあったのだが、そのときは正直ぴんと来なかった。しかし今回、でっけー展示室にビデオ彫刻が数点並んだ空間のインパクトはすごかった。デュシャンの援用もすごくいろいろ触発される。ある時期から繰り返しあらわれる、Vの頭韻に貫かれた”Video is…”という詩もかっこいい……。解説文のなかに「「なぜ山に登るのか」に「そこに山があるからだ」とこたえるのは植民地主義・帝国主義的だ、山に登るのは山を知覚して感じるためだ……」みたいな久保田の言葉が引用されていてばちくそかっこよかった。

ユージーン・スタジオ、思弁的でスタイリッシュな感じなのかなと思ったら実際にはひらめきとストレートなポエジーを見る感じだった。海をつくるインスタレーションやチェスとドラムセットのインスタレーションあたり以外はインパクトある造形よりも繊細なニュアンスを感じ取ることを要請するものが多い(海もそうといえばそうか)。その繊細さの質についてはそういう目の肥えたひとの話が聞きたい。『2001年宇宙の旅』をモチーフにしたインスタレーションというか彫刻は、インスピレーションとインパクトのある造形の一貫性が一番しっくりきたかもしれない。しかし人数制限のある展示の整理券が昼にははけてしまっていたり、熱心に見て写真か動画かをとっている人がたくさんいたり、若手の個展としては熱気がある感じだった。(注)

常設展は足が痛かった記憶のほうが大きいのだが、アピチャッポン・ウィーラセタクンの映像がよかった、というのははっきり覚えている。あと、ボルタンスキーだなぁ……っていう。ボルタンスキー、好きじゃないんですよ。むしろ苦手。嫌いまでいってしまうかもしれない。

本当は森美術館に言って「アナザー・エナジー」展をみるつもりだったが、体力の限界をおぼえて宿に戻ることに。タジタジさんとはここで解散。そのときに近田春夫『気分は歌謡曲』の単行本をタジタジさんから託される。以前、阿久悠の実践的作詞家入門もタジタジさんからお借りしている……。すみません、がんばります。

そこから宿戻って風呂入ってなんかうだうだしていた記憶しかない。なんかしたっけかな。たいやき食ったんだ。たいやきおいしかった。あと、深夜にTwitterのスペースで伏見さんや温マさんがくそどうでもいい話をしていてめちゃくちゃよかった(もしかしたらどうでもよくない話もしていたかもしれないが、おれが聴きだしたときにはナンセンスの方向に振り切っていた)。atatakaiyuさんのスペースなのに伏見さんがホストみたいになっていた。場の回し力を感じた。

注:ちなみにユージーン・スタジオの寒川さんは大学時代に交流があり、昔Maltine Recordsから変名で出したEPのアートワーク描いてもらったことがある……(Maltine Records – [MARU-061] three meters right above – on the shady side of the street (cs8.biz))。覚えてるかわからないけれど。

12/18

朝から国立国会図書館に向かう。調べ物があるのだ。朝イチからがんばるつもりが寝坊して10時半くらいに到着。淡々と資料を借りては目を通しコピー、デジタル資料もどんどんプリントアウト、とやっていたらあっというまに閉館寸前になっていた。土日なのでちょっと閉館が早いというのもあった。これはもうちょっと、それこそ2,3日は続けて通わないと無理な案件だな……。いや、家でできる範囲の下準備をもう少ししておくべきだったか……。到着即閲覧申し込みしないとな……。

夕方から人と会うつもりだったが予定がつかず、しゃあないし『アナザー・エナジー』リベンジか! と思ったら森美術館がなぜかこの日早く閉館してしまうとのことで断念。いつもは22時までやってるから油断していた。その後いろいろあったものの結局、相手のほうも体調すぐれずとのことで、いまの時期に体力的に無理するのはよくないので中止に。駅でみつけた半額のわらび餅を食べながら、温泉マークのオートチューン実況を見て、でもあまりの眠さに寝落ち。

12/19

6時くらいに目が覚める。今回は23時くらいに寝たので、結構じっくりと睡眠がとれた。天下一品のラーメンが食べたくて、昼に天一だけ食って新幹線のろうかと思ったが、思った以上にどたばたしそうだったのでやめた。マクドナルド食べたんだけど、ちょっと後悔した。なんかいつものマクドよりもパティパサパサだった気がする。これが東京のマクドナルドなのか?

新幹線のなかで温泉マーク『冬のおとずれ GREATEST HITS 2021.11.20〜2021.11.20』を購入、ダウンロードして聴く。配信で制作過程を見ていたときはそこまでのものになってるとは思っていなかったけど、アルバムになると結構おもしろいのがすごい。

東京は歩いてたら少しあせばむくらいの気温だったのだが新幹線が山形に近づくにつれて少しずつ外の風景に雪が増していき、山形にはいると完全に雪景色になった。「国境の長いトンネルを抜けると……」というのはある種の普遍で、豪雪地帯というのは山などによって隔てられていることが多いものだから、いきおい「徐々に雪景色になっていった」みたいなことはあんまりなく、やはり「トンネルを抜けると」雪国になっていく。まあ市街地は雪なくて山のふもとにいくと雪たくさんってのはありますけどね。

以上です。

カテゴリー: Japanese