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sleepyhead『DRIPPING』が予想外にツボに刺さる一作だった

 好著『すべての道はV系へ通ず。』の著者、藤谷千明さんがTwitter「今年の「カッコいいで賞」は完全にこのアルバムだから…(´6ω6)」とおっしゃっていたので聴いてみたらたしかにかっこいい。昨年解散したV系バンドSuGのvo.である武瑠のソロプロジェクトだそう。

DRIPPING

DRIPPING

 ダンスサウンドを結構取り入れている一方で、デジロックみたいに言われちゃうようないなたさもなく、かといってバキバキ最先端いってますみたいにもならずバランスがいい。めっちゃツボにハマる。メロディラインやコード進行のちょっとしたところにV系っぽさが残ってるのがまた味わい深い。自分のようなV系サウンドに慣れていないリスナーにもすんなり聴ける、適度なエグ味というか……。単純に美メロだしエモい(Emo的な意味でも)。

 と、楽曲そのものの良さはもちろん保証済として、サウンドに注目すると、M3「結局」のスタッターやちょっとしたヴォーカルチョップの使い方がささやかながら耳を惹きつける。M6「HOPELESS」のサビ頭で始まった直後のシンセや変拍子グリッチを織り交ぜた間奏も信頼できる感じばりばり。M8「アトノマツリデ」でのスラップベースの使い方やシンセのパターン、ドロップ的な箇所のアレンジはがっつりFuture Bassの影響が出てて気持ちいい。M10「退行的進化」のダブステップを意識したとアレンジも、ばきばきのダブステップではないにせよツボを抑えた感じがある。

 と思ったらこの曲とM11「LAID BACK」はTeddyLoidとの共同プロデュースだそう。でも決してTeddyLoid色に染まりきってはいない印象。TeddyLoidを交えたインタビューを読んでみたら出てくる固有名詞がA$AP mobやケンドリック・ラマーといったラッパーたちからHalseyみたいなシンガー、あとClarkやらFlying Lotusなど。なるほど……。先月リリースされたEP「NIGHTMARE SWAP」ではリード曲にSKY-HIが参加してprod.がTeddyLoid。こちらはもっとTeddyLoid感あり、かっこよい。

 ただ、EP全体聴くと、サウンドがもっとメインストリーム感出てきた一方で、アルバムのちょっとインディっぽい音像も魅力的だったかしら……。アタックが強くて分離がよく、ステレオ感や空間を強調するようなサウンドはほかのポップスと並べても見劣りしない強さがあるんだけど、みんながみんなそれになってもつまらんなーと最近思うので…。

NIGHTMARE SWAP

NIGHTMARE SWAP

 事務所とかレーベルに所属しないで完全に自主でやってるっていうのも凄い。SuGを解散して以降のこのsleepyheadをV系と呼ぶのかはわかんないものの、V系を掘ってみようと思いつつ入りあぐねていたところだったので、ちょっとここからいろいろ調べてみようかなと思った。ふつうの感想文でした。

カテゴリー: Japanese